昨日少し触れたオーストリアの著作権協会AKMについてですが、せっかくなので続けて書く事にします。(現実逃避中)
日本でも著作権に関してはいろいろな意見があると思いますが、一番の問題はお金を巻き上げても著作者には微々たる印税しか入って来なかったり、著作関係を無視した侵害や違反が堂々と行われていたりする事かもしれません。何年か前に日本の音楽教室で利用する曲にも著作料の支払い義務が生じるとのニュース(のちに却下)がありましたが、さすがにそこまではやりすぎかと思います。
日本の著作権についてはそこまで熟知していないのでオーストリアでの話をします。まず著作権は先に出たAKMとaustro mechanaいう団体がひとつになって管理しています。AKMは作曲・作詞・出版などの著作、もうひとつは主にCDなどの物販著作管理、そしてその他にLSGと言う実演権団体もあります。
どれも50〜80ユーロくらいで登録できるので特に作曲作詞をする人などはまずここに申請登録します。一度登録すれば契約解除しない限り一生ここで管理される事になります。20代くらいまでの若い人はもっと安くて15ユーロしないくらいなので早いうちに登録だけしておくのも良いかもしれません(昔は全て用紙でしたが今はオンラインで楽曲登録もできます)
私は学校を卒業してライブで自作曲を演奏する様になった頃にオーストリアのミュージシャン仲間からAKMの登録を勧められました。
と言うのも、著作権保護はもちろんですが、ここでは自分の曲を演奏すればするほどその印税が支払われるからです。印税金額は演奏する場所によって違い、1曲につき2ユーロ(雀の涙!)ほどの場所もあれば1曲45ユーロほどの事もあります。
この金額の差は例えばライブ会場がAKMに年単位やお得パケットで支払っている場合と、集客の多い単発イベントだったりの違いです。
これはあくまでもライブ演奏の場合ですが、楽曲がテレビやラジオで使われた場合はぐーんと跳ね上がります。
それから事前に確認しておかなければならない事は「誰が主催者か」と言う事です。カフェやレストランが会場になる場合は「ライブ演奏」と「BGMとしてCDやネット利用での音楽」が別登録になりますが、この著作権のためにパケットで支払っていない会場も多くあります。会場が登録していない場合は自分が主催者になるので自分でイベントを申請する必要があります。
例外として
- 入場無料
- チップなし
- 上記条件+演奏者は全員ノーギャラ
- ノーギャラで演奏曲は全て自作曲
- 利益を出さない完全チャリティーイベント
は申請の必要がありません。
それから完全なプライベート空間での演奏、例えば結婚式なども以前は申請する必要があったらしいのですが今はなくなったそうです。
と、ここまでいろいろと書いていますが私も最初はよく分かっていませんでした。
前回の記事の助成金も同じですが、オーストリア人でも自分でオーガナイズした事ない人に聞いても全く助けにならないのであちこち規約を読み漁るしかありません。
ところで、今までは私はほぼ自作曲しか演奏していなかったので、そこまでややこしくはありませんでしたが、この新しいStation1977ではカバー曲ばかり。さすがにレジェンドを無視する訳にはいきません。
今回は自分が主催者なので昨日やっと申請しました・・(またギリギリ)
ここでよく混同され注意すべきなのは、ひとつのイベントで
「イベント申請」と「プログラム申請」は別個である事。
イベント申請は主催者→使用料を払う
プログラム申請は演奏者→著作者に印税が支払われる
今回の私の様なケースは主催者=演奏者なのでどちらも自分で申請します。
使用料はちょっとややこしくて、チケット代金・客数から計算する場合と演奏者のギャラから計算する場合がある様です(この辺りはよく分からない)
もちろん申請していない人も多くいますが、びくびくしながらのイベントはしたくないし(当然ですが罰金もあります)カバー曲を演奏するのであれば1曲であれど敬意を持って演奏するべきだと思っています。
以前、ウィーン郊外の小さなイベントで小さなグループで演奏した時に主催者が「イベント申請はしてあるから」と言っていたので、(小さなイベントで実際に申請する人はあまりいないので)珍しいなと思いながらも、その時に演奏したオリジナル曲数曲をプログラム申請した事がありました。オリジナル以外はジャズスタンダード曲などです。
そしたら!!
AKMから「主催者が、あなたたちはイベントに来なかったと言っている」などと言うあり得ない連絡が来ました。
(はぁ????!!!!!)
「いやいや、私達は○月○日にこの場に行って演奏したし、主催者はイベント申請したと言っていましたが」
数回AKMを通してやり取りしても結局「来なかった」だの「演奏しなかった」だのと言い張られて、私も日時と名前の入ったフライヤーやら証拠の演奏写真やらを送りましたが結局その話はうやむやに終わってしまいました。
結局イベント申請はされてなかったのだと思います。
こう言うトラブルもあるのでほんとにたかがイベントされどイベント、念には念を入れて確認した方が良いです。
以上、オーストリアの著作権の話でした。
画像はトリオの共同楽曲ですが、7小節のテーマでも登録しています。
(眉毛どしたんや私・・笑)
最後に春が近づいて来たのでトップ画像の楽曲を少し。
続き、または他楽曲はShiKisaiホームページで視聴してくださいね。
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